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住商スクラム LIVE REPORTS Vol.4 アルミニウム製造で世界の未来を創る

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マレーシアにおけるアルミ製錬事業への参画

アルミニウムを生み出す巨大工場

 インドネシア、マレーシア、ブルネイの3カ国の領土に分割されているボルネオ島。この島のマレーシア領サラワク州に、その巨大な製錬所はある。全長1キロ、南シナ海を臨む東京ドーム5個分の広大な敷地に並ぶ建屋群。プレスメタルがアルミニウム製錬を行う旗艦工場、ビンツル工場である。
 この工場が建設されたのは2012年のことだ。2015年には同じ敷地内に新たなラインが増設され、現在は年間64万トンのアルミニウム製錬が行われている。同じ州内にあるもう一つのムカ工場を合わせると、総生産量は年間76万トン。これは東南アジアで最大級の生産能力となる。
 このアルミニウム製錬事業に出資参画しているのが、住友商事である。

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循環型社会と新しい産業分野を支える素材

 アルミニウムは、1880年代に製錬方法が確立した比較的新しい素材だ。高強度で錆びにくい上、加工がしやすく熱伝導率も高いという材料特性によって、多岐にわたる産業分野や人々の生活の広い領域に短期間で浸透し、現在では鉄に次ぐ需要規模を持つ金属となっている。
 そして近年、さらに注目されているのは、その「軽さ」と「リサイクルのしやすさ」だ。比重は鉄のおよそ3分の1、リサイクルに要するエネルギーは製錬時の2%程度。例えば、自動車用材料にアルミニウム使用比率を増やせば、軽量化による燃費改善が可能になる。また、一度使用したアルミニウムは、リサイクルによって何度も繰り返し利用することができる。経済産業省が、アルミニウムをこれからの循環型社会を支える資源と位置づけているゆえんだ。
 それだけではない。今後、宇宙開発、ロボット製造などの新しい産業分野が拡大し、世界の都市化が加速し高層ビル建築が増加すれば、「強くて軽い」アルミニウムの重要性はさらに増していくはずだ。アルミニウムとは、いわば「未来を創る素材」なのである。

軽金属事業部 早川 一樹

1991年入社。金、銀、プラチナなど貴金属を扱う部署から始まり、原料トレードや国内営業などの経験を積み重ねてきた早川一樹。中国での語学研修、オーストラリアのアルミニウム製錬事業などを経て、6年ほど前に東京本社に戻った。「マレーシアの事業では、投資やファイナンスはもちろん、保険や電力などを専門とする他部門にもサポートしてもらっています。親身になって支えてくれる人たちが社内にたくさんいる。そこに住友商事の底力を感じます」

ビジネスの軸足を海外に移す

 住友商事のアルミニウム関連ビジネスがスタートしたのは1970年代のことだ。日本国内で利用されるアルミニウムを海外から輸入し、日本のメーカーが作ったアルミニウム素材を海外に輸出する。従来は、こうしたトレーディングビジネスが主流だった。このビジネスモデルが変わってきたのは、この10年ほどのことだ。
 「時代とともにアルミ加工を手掛ける工場の多くが海外に移転し、私たちのビジネスの軸足も海外に移さなければならなくなりました。その過程で、トレーディングだけでなく、アルミの生産そのものへの事業投資を拡大する必要が出てきたのです」
 そう説明するのは、軽金属事業部の早川一樹だ。事業投資の一環として2010年から進めてきたのが、マレーシアのアルミ製造の最大手、プレスメタルとのプロジェクトだった。

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「アルミを作る」という新しいチャレンジ

 プレスメタルはもともと、円柱状のアルミニウムを金型から押し出して、細長い加工材を造るいわゆる「アルミ押出」を、マレーシアと中国で手掛けていた会社だ。住友商事は、その原料となるアルミ地金を以前から同社に販売していた。
 2009年、同社は製造過程のさらに上流にあたるアルミニウム製錬事業を開始し、マレーシアのサラワク州に新会社、プレスメタルサラワクを発足させた。2010年に住友商事がその株式の20%を取得したところから、現在に至るパートナーシップが始まった。
 「プレスメタルは、製錬したアルミを各地に販売するネットワークを持つパートナーを求めていました。そこで、以前から取引があり、すでに信頼関係を構築していた住友商事が選ばれたわけです」

トラブルを乗り越えてパートナーシップをより強固に

交渉の過程で培われた信頼関係

 アルミニウムの製錬工程には、膨大な電力が必要となる。プレスメタルがそれまでに経験のなかったアルミ製錬にチャレンジできたのは、世界でも有数の多雨地帯であるサラワク州に豊富な水力資源をクリーンエネルギーに転換する巨大水力発電所が完成し、その安定的で豊富な電力を利用できるめどが立ったからだった。住友商事参画の契機となるムカ製錬所の権益買収から関わってきたのが、軽金属事業部の吉田陽一である。東京本社でアルミ製錬ビジネスの全体マネジメントを担う吉田は、プレスメタルとのパートナーシップが成立した当時のことをこう振り返る。
 「2010年末に事業に参画するまでの交渉に約3年を費やしました。当時の担当者が工場や発電所に足繁く通いながら、現場の状況を細部まで検証し、事業計画や買い取り価格などの話し合いを続けました。タフな交渉でしたが、その過程でパートナーとしての信頼が深まっていったと思います」

軽金属事業部 吉田陽一

吉田陽一は、2008年中途入社。以前に勤めていた会社でもアルミビジネスの投資管理やトレード業務に関わっていた。そのキャリアは18年になる。「マレーシアでのアルミビジネスは、まだ立ち上がったばかりです。日々持ち上がる課題に信念をもって向かい合い、同僚からも後輩からもパートナーからも信頼される存在でありたい。そう考えています」

「事故」で発揮されたパートナーシップの力

 2012年には2つ目の製錬所の建設がビンツルで始まり、住友商事はこのプロジェクトにも参画する話し合いをプレスメタルと進めていた。「事故」が起こったのは、まさにその交渉妥結の直前だった。
 「発電所トラブルによりサラワク州全域で大規模な停電が発生し、製錬所への電力供給がストップしてしまったのです。電気が止まると、電解設備の中で溶融しているアルミニウムは冷えて固まってしまうのですが、ムカ工場ではその最悪の事態が起こりました。結局、その後半年間、ムカ工場は稼働できませんでした」
 この危機に際して発揮されたのが、まさしくパートナーシップの力だった。住友商事の担当者は、迅速に東京本社に掛け合い「通常ではありえないスピード」(吉田)で、緊急融資を実現した。そうして資金的にプレスメタルを支える一方で、新たに稼働するビンツル工場でも同様の事態が起きることのないよう、現地の電力会社とも再発防止の交渉を行った。
 「社内の電力事業や保険の部署の社員もマレーシアまで呼んで、話し合いの場に同席してもらいました。もう二度とこのような事態を起こしてはならないと、みんな必死でしたね」

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このパートナーシップには何の心配もない

 総合商社ならではの資金力と人材力と交渉力とをもってパートナーシップを支えた住友商事に対するプレスメタルの信頼は、これを機にさらに高まることとなった。
 「完璧な合弁事業」──。プレスメタルを率いるクーン・ポーキョンCEOは、現在のパートナーシップをそう表現する。
 「プレスメタルは創業から30年、アルミ製錬事業を始めてからは6年程度しか経っていない若い企業です。一方、住友商事は長い歴史と経験を持つ会社です。私たちは、どうやってビジネスを長期にわたって継続していくかの経営手法を住友商事から日々学ばせてもらっています」
 プレスメタルがサラワクでアルミを生産し、住友商事がその販売網を使って北米、南米、欧州、韓国、そして日本といった国々に供給していく──。その連携の形が理想的に機能しているとクーン氏は言う。
 「それぞれが役割を果たし、互いに敬意をもってビジネスを進めることができています。私はこのパートナーシップに何の心配も感じていません」
 一方、「私たちも日々多くを学ばせてもらっている」と話すのは、住友商事からプレスメタルに出向し、クアラルンプールで営業に従事する宮地泰史だ。
 「プレスメタルは、中国でアルミ加工を長く手掛けてきた会社です。コストを抑え、市場競争力のある製品を効率よく作る技術を、彼らはしっかりと備えています」
 「世界の工場」たる中国で工場経営のノウハウを蓄積してきたプレスメタルと、原料調達と販売に関する世界的なネットワークを持つ総合商社たる住友商事。両社のパートナーシップは今、蜜月時代に入ろうとしている。

プレスメタル社 CEO クーン・ポーキョン氏

「徹底した現場主義」「情熱家」「合理主義者」──。住友商事の社員は、クーンCEOをそう評する。中国系マレーシア人で、現在は3人の兄とともにプレスメタルグループの経営に当たる。「ビジネスにおいても最も重要なのは“誠実さ”です。顧客、従業員、パートナーのすべてに対し常に誠実であること。その基本理念を私たちは守り続けていきます」

アジア大洋州鋼材 非鉄金属ユニット(マレーシア) 宮地泰史

1998年の入社以来、一貫してアルミニウム関連ビジネスに従事してきた宮地泰史。中国での語学研修、大阪の事業会社への出向を経て、現在はクアラルンプールのプレスメタルのオフィスに駐在している。「住友商事のグローバルネットワークを通じて、プレスメタルの製品をグローバルブランドの仲間入りさせること。それが現在の私たちのミッションです」

長期的な信頼関係を構築するためのたゆまぬ努力

多様な従業員をまとめあげる

 ビンツル工場で働く従業員はおよそ2,500人。マレーシアだけでなく、中国、ミャンマー、インドネシア、バングラデシュ、ネパールなど多様な国、民族の人たちがいる。
 「言葉も文化も異なる従業員をまとめるのは、正直たいへんです。工場内で中国語の講座を開いて、みんなができるだけ同じ言語でコミュニケーションできるようにしているほか、さまざまな国・民族のお祭りを開催して、相互理解が進むようにしています」
 この工場に出向している住友商事社員であり、プレスメタルのスタッフとともに現場のマネジメントを担う吉田広樹はそう話す。
 「住友商事は、世界各地の工場に出資し、ハンズオンで操業してきた経験があります。そこで得た知見、ノウハウ、情報などがこのビンツル工場でも生かされています。工場が稼働し始めた4年前と比べると、業務が格段にスムーズになってきているのを実感しています」

アジア大洋州鋼材・非鉄金属ユニット (マレーシア) 吉田広樹

2007年に入社した吉田広樹。2010年から軽金属事業部所属となり、オーストラリアのアルミ事業を担当。その後、プレスメタル本社での2年間の勤務を経てビンツル工場に出向となった。工場に常駐し、安定操業と生産の効率化をモニタリングし、改善活動を実施する仕事を続けている。「事故なく操業を続け、プレスメタルを世界に知られる企業にしていくことが目標」と話す。

アジアの発展とともに成長していく

 プレスメタルのアルミ製錬事業が始まって6年。その間に3つの工場が稼働し、生産量も増え続けている。
 「6年という短い期間でここまで成長できたことは、まさしくこのパートナーシップがうまくいっている証左と言っていいと思います」(早川)
 現在の生産量を保ちながら、製品のクオリティをさらに向上させることが当面の目標と早川は言う。さらにその先にあるのは、年産100万トンという大台への挑戦だ。二社間の信頼関係をより深く、より強固に進めていけば、それは決して不可能ではない。マレーシアでアルミビジネスに関わる住友商事の社員たちは、そう口をそろえる。
 文化や歴史を異にする相手とのパートナーシップに完成形はない。ビジネスである以上、利害関係の相違も常にある。だからこそ、共通の目標を確認し合いながら、信頼関係を日々積み重ねていく必要がある。クーンCEOは言う。
 「住友商事は長期的な視野で事業を計画する力に非常に長けています。長期的視野を私たちも身につけながら、パートナーシップを長く続けていくこと。それが私の願いです」
 その「願い」はまた、住友商事のものでもある。経済発展が続くアジアをはじめ、世界のアルミニウム需要は今後も間違いなく伸びていくと見られている。その発展をともに支え、ともに成長していくための取り組みが、これからも続いていく。

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「スクラム」の力で、未来へ パートナーシップの未来を見据えるだるま

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Vol.4 「産業用素材」篇
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(2017年1月16日)

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住商スクラム vol.4

Vol.4 「産業用素材」篇
日本経済新聞 掲載
(2017年1月16日)