ProjectEYE その時、何を見つめ、考え、行動したのか。

シリーズ第五回 ロシア木材事業プロジェクト

出資45%、強固なパートナーシップへ

チェルネイレス社が成長を続ける中、2005年頃から、経済成長著しい中国、韓国のバイヤーによるチェルネイレス社へのアプローチ合戦がはじまった。「判断に迷ったら、チェルネイレスが得するほうをとれ。富島にそう叩き込まれ、実践してきた自負もあった。にもかかわらず、ただの売り手と買い手という対立関係に陥りかけたこの時期は非常につらかった。」林田はそう語る。
そして、悩んだ末にメンバーは、出資比率を高めるという結論を出した。チェルネイレスの利益を上げれば住商にもそれが直結する。そうすることでお互いのベクトルが合致し、より深い事業展開が可能になると考えたのだ。富島はその想いをシェルバコフ氏にぶつけた。
「99%はうまくいかないと思っていた」と富島。最初から合弁で立ち上げるような場合ならまだしも、相手は確固たる基盤をもつ大企業だ。シェルバコフ氏から合意を得たときは、大きな驚きと興奮があったという。こうして両社のパートナーシップは、揺るぎないものとなったのだった。


予想しなかった突然の危機

約一年かけて段階的に株式の譲渡を受け、45パーセントの株をもつ筆頭株主となったのは2007年7月のこと。だが、メンバーの前に、またしても問題が立ちはだかる。ロシア政府が自国の木材加工業を育成すべく、原木の輸出関税80パーセントという実質的な輸出禁止措置を行うと発表したのだ。当時チェルネイレス社は加工製品を生産していたが、それは全体の約3割に過ぎない。「なんでこんなことになるんだ!」次から次に訪れる難局を前に、メンバーの心は大きく乱れる。しかし、決してあきらめはしなかった。不安を必死にこらえながら、事態を打開すべく動き回った。発表から約1カ月後、メンバーはある答えにたどり着く。それは、すべての原木を加工することのできる巨大工場を建設する、というかつてない挑戦だった。


与えられた時間は、通常の3分の1

輸出関税引き上げの施行まで、残り1年半。ロシアの場合、寒さの問題などもあり、建設作業にかかれるのは実質1年ほどしかない。メンバーはまず事業計画の策定や、約180億円にものぼる投資許可を住友商事社内で取るために奔走した。そして2カ月後、ロシア投資においては異例のスピードで社内稟議が通る。これまで15年余りのパートナーシップにより、チェルネイレス社とその経営者であるシェルバコフ氏について、社内にも理解が浸透していたことが後押しとなったのだ。この連絡を受けたとき、富島はシェルバコフ氏とともに納入機械のリサーチのためイタリアにいた。田舎町の小さいレストランで、二人とも飲めないワインで乾杯を交わし、「これでまた一緒に事業がやっていける」という嬉しさと安堵で思わず涙が出そうになったという。


持続可能な森林経営に着手

住友商事とチェルネイレス社は、自然環境との共生への配慮なくしては、木材事業の持続的な発展はあり得ないと考えています。しかしチェルネイレス社が所有する林区はその広大さと寒さから、人の手をかけて植林することが困難。そこで採用しているのが「列状伐採方式」です。20〜30メートル間隔でライン状に伐採すると、そのすき間に種が飛び、芽が出て木々が生長する手法。これにより、植林することなく森林が天然更新されます。



責任ある森林管理のマーク
SGS-COC-002097
©1996 Forest Stewardship
Council A.C.

また、ロシアで初のFSCによる森林認証(Forest Stewardship Council(森林管理協議会)の略。世界的な森林認証制度)を取得。取得への取り組み開始当初はロシアに認証機関そのものが存在しなかったため、認証のための調査機関の設立(森林認証センター)を州政府に働きかけるところからスタートしました。

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