ProjectEYE その時、何を見つめ、考え、行動したのか。

シリーズ第四回 ボリビア・サンクリストバル鉱山プロジェクト

現地の人々との信頼関係をもっと強固に


中林 崇
ミネラ・サンクリストバル社
購買部 Coordinator

現場を把握してみると、在庫がコストを圧迫していることが見えてきた。棚卸しのために半年かけて整理・整頓を実施。「広大な敷地にあった膨大な在庫を、1点1点、取り出して並べ直すといった、すごく地道な作業をひたすらやりました」と下藤は言う。在庫管理を進める上で、現地のスタッフとのコミュニケーションには特に気を配った。「日本から突然行った人間が指示をしても、彼らは動いてはくれません。働く仲間として共にやっていこうという姿勢で、率先して行動しました」と下藤。高地の強烈な日差しに耐えながら、一緒に何時間でも作業をした。時にはボリビア風の肉まんをポケットマネーで買い、みんなで食べたということもあったという。


「ボリビア人スタッフもこのプロジェクトにとても誇りをもち、『絶対に鉱山事業をうまくいかせるんだ』という情熱を持ってくれた。それがすごくうれしかった」と2009年6月まで現地購買部で任にあたっていた中林崇は話す。
こうしてコスト低減が順調に進み、前年比30パーセント減とインパクトの大きな成果となった。中林は言う。「プロジェクトに携わったみんなの情熱、そしてそれを共有できる『最高のチーム』があったおかげ」


地球の裏側で、挑戦はつづく


久木原 路子
サンクリストバル・プロジェクト部 
サンクリストバル・プロジェクトチーム主任

今までにやったことのない新しいチャレンジの連続だったこのプロジェクト。「あきらめずにやってこれたのは、自分たちのやっていることを信じていたから」。現地と社内をつなぐ役割を果たしてきた久木原路子はそう振り返る。久木原は、プロジェクトが極めて少人数であった当初から、予算策定から契約書の確認、社内向けの報告書作成まで何でもこなしてきた。
「泣きながら議論をしたこともありました」と久木原。それでもみんなが真剣に、遠慮せずに言い合えたことでチームの結束はより強くなった。久木原はこう続ける。「体力的にはきつくても、精神的には負けないという気持ちが強かった。それがお互いの支えにもなったと思います」
プロジェクトをリードしてきた矢崎と上﨑も「真剣な議論を続けたことで最高のチームワークができ、われわれの腹が固まっていたから」と困難を乗り切れた要因を語る。今までやったことがないチャレンジをする時、最後の最後は踏ん切りがつくかどうか、なのだ。

コスト改善、生産性の向上、管理体制強化、それに継続的な人材確保など、さらなる課題が待ち受けている。また、サンクリストバル鉱山には、いまだ未確認の資源が眠っているとも言われており、現在も探鉱の最中である。世界有数のこの鉱床を前に、メンバーの情熱は尽きない。
新しいことは、目の前にまだ山ほどある。


住友商事の社会貢献活動
開所式でのテープカット。モラレス大統領(右)と、当社会長の岡
新しい技術訓練センターでは、電気、機械、溶接、ITなどの技術教育を行います

資源を開発する者には、そこに住む人々にも思いを寄せ、その未来につながるような開発を行う責任がある。そう考えて、住友商事では毎年1億円以上にも上る拠出をして地元ボリビアへの貢献を行っています。(開発当初は約20億円)
ひとつはインフラの整備。これまでに道路や上水道、それに病院や学校なども建設されました。鉱山に開設したクリニックは近隣住民にも開放。悪路を車で数時間も走らなければ医者にかかれなかった地域住民から大歓迎されました。ここ数年で乳幼児の死亡率が大幅に改善したことも、医療施設の充実と無縁ではないと考えています。
もうひとつは自立への支援です。それを象徴するのが「サンクリストバル技術訓練センター」の設立。鉱山で必要とされる技術教育のほか、観光業、秘書業、経営学の教育を提供し、経済的な自立を支援しています。異例なことに開所式にはボリビアのモラレス大統領も臨席し、地域の発展を願いました。

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