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こうして2008年7月に9メガWの発電所が完成。タリフ登録も8月に完了した。さらに9月には、3.6メガWの増設工事とタリフ登録も完了。9月26日から一部の発電を開始し、ついに目指していた太陽光発電事業を実現したのである(フル出力は周辺送電環境が整う2009年初頭からの予定)。
「無理と思った局面は何十回もあった」と福原。それを切り抜けられたのは、「時間を切られたことで迷いがなくなり、全員のベクトルが“やるしかない”方向で一致したから」だと言う。石村も「成功要因に挙げられるのは、書類上の言葉や数字では表せない、地元パートナーと築いた信頼関係の深さ。当社のメンバーも福原を中心にまとまっていて、思いにブレがなく、それがいざというときの結束力につながった」と分析する。そこに萩原と高瀬が付け加えたのが、「“日本企業初の大型太陽光発電所を造るんだ”という強い意思を共有できたこと」と、大量の発電モジュール調達を可能にした住友商事のグループ力だった。

「世界を相手に大きな仕事がしたいという入社前の思いがかなった」と話すのは、業務管理を担当した齋藤智子だ。「関わったことがニュースになるのは素直に嬉しいし、誇りにもなりました」。
2008年5月には、今回のプロジェクト記事が日本経済新聞の朝刊一面に掲載された。「一面に載ったのは、発電モジュールを大量に設置すると、発電所が造れるんだという新しい視点を世の中に示したことが評価されたのだと思います」(福原)。こうした取り組みを通じ、“太陽光発電事業といえば住友商事”と認知されることが「目標の一つ」と福原は言う。環境に対する関心の高さを背景に、太陽光発電関連の話題がマスコミに登場する機会は増えている。そのとき、トップランナーとして住友商事の名前が登場することも、増えてきた。

住友商事では太陽光発電事業を環境ビジネスの主要分野の一つに掲げ、欧米各地で案件開発を行い、事業拡大を目指している。環境・省エネ事業部の新田雅之は、「目標は、太陽光発電事業で世界のトップになること。いずれは子会社化して発展を目指したい」と、今後の抱負を語る。
『低炭素社会の実現に寄与しながら、会社の収益拡大に貢献する』。環境・省エネ事業部が標榜するこのビジョンの実現に向かって、福原たちの新たな挑戦が始まっている。

旧来からの事業パートナーを除けば、テネリフェ島での住友商事の知名度はゼロ。地元の人たちが住友商事のメンバーに強い警戒心を持つのは当然のことでした。この警戒心を何とか取り払おうと、住友商事のメンバーたちは、人と人との付き合いや、心の触れ合いも大切にしていきました。たとえば、地主さんの家族が入院すると聞いたときは、交渉をストップさせ、“御守り”を手渡して、治療がうまくいくことを一緒に祈ったり。こうした触れ合いの積み重ねによって関係性は警戒から信頼へと変化し、「わたしたちは仲間だ!」「アミーゴ!」と呼び合う抜群のチームワークへとつながったのでした。