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そして99年、開発は実証試験に入った。実際のビルで、SCBが実機を使って清掃。「ユーザーの立場で改善点を洗い出し、実用水準まで性能を引き上げるのが、我々の役割でした」(宮田)。
家庭用掃除機と違い、ロボットは1回の動きでゴミを吸引しなければならない。だが、一定速度の動きでは、清掃結果にムラが。そこで開発されたのが、汚れ具合に合わせて速度を3段階に切り換えて清掃するシステムなのだ。
このほか、カーペットの上をまっすぐ走る技術や、目詰まりを回避する仕組みも、SCBの要望に富士重工業が高い技術力で応える形で開発された。
「細かな要望にも、富士重工業さんの対応は素早かった。この熱意で、プロジェクトは必ず成功すると確信しました」(石川)。

また、このロボットは壁際20センチを清掃しない。技術的には可能なのだが、膨大な数のセンサーが必要になり、コストが大きく跳ね上がる。「人間は、そんな壁際を歩きません。だから、汚れが気になったら人が清掃すればいいと、清掃方針を決めたのです」(井澤)。
この役割分担が有効なことも、この実験で確認できた。ちなみに、なぜ20センチ? 「一般掃除機のノズル幅が、20センチなんです」(宮田)。

実証試験が終盤を迎え、ほぼ実用化が見えたと思われたとき。最大の難関がメンバーによって発見された。体重135キロのロボットが毎日同じ場所を走ることでできる、カーペットのわだち。「実際のビルで実証実験を行ったからこそ、見つけ出せたポイントでした」(井澤)。
住商インテリアインターナショナルの協力で数種類のカーペットを試すも、結果は同じ。車輪を太くして改善を図ったが、メンバーが求めるレベルには至らなかった。軽量バッテリーはコストの問題もあり難しい。
そこで発想したのが、毎日同じ場所を走らせないこと。「曜日ごとに通る場所を数センチずらせば、わだちはできにくくなると考えたのです」(宮田)。
この発想に基づき、2000年12月にシステムが完成。ついに、井上をはじめとするメンバー全員の思いがシステムとなり、2001年4月のオープンと同時に、導入されたのだった。


今回の成果は、ロボット単体ではなく、ビル清掃のシステムとして開発する発想を持てたことが、大きなポイントでした。つまり、ロボットとエレベーターに加え、清掃を補完する人、ロボットを運用・管理する人、ビルを使う人を、どう組み合わせ、清掃品質を上げながら、コストバランスを取るか。
こうしたサービスロボットシステムを実用化し、導入する上で、最も重要な技術を住友商事グループが提供してくれたことで、富士重工業のものづくり技術を最大限に生かすことができ、開発が実現したのです。