広報パーソン 世界探訪記

住友商事のビジネスの現場を間近に見てきた当社広報担当者が、現地の状況や働く人々の様子をレポートします。世界に広がる住商ワールドの「いま」をお送りします。

今回のレポーター

広報部報道チーム 江中一穂

広報部報道チーム
江中一穂

木材資源事業部で営業を経験した後、2006年より広報部。現在は、金融・物流事業部門、関西ブロック、地域総括・調査部を担当する。減量の成果が結実しつつある(さらに継続中)。

タンロン工業団地(タンロン1)

1997年、住友商事がベトナムのハノイ市内に設立した274ヘクタールの工場団地。日系企業を中心に精密機器、電気、自動車、部品など2008年3月現在82社が入居している。タンロンとは昇龍の意味。

第2タンロン工業団地(タンロン2)

住友商事がベトナム北部フンイエン省に開発中の工業団地。ハノイ市からハイフォン港に向かう国道のそばに位置する。広さは220ヘクタール。2008年8月より販売を開始している。

ドラゴンロジスティックス社

住友商事が出資するベトナムの物流会社。タンロン工業団地内にも保税倉庫を有し、輸出入通関や、部品・製品等の保管・配送などを営む。タイや中国との陸路輸送サービスの拡大にも注力。

日越共同イニシアティブ

ベトナムの投資環境改善等を目的とするもので、03年に当時の小泉首相とベトナムのファン・ヴァン・カイ首相の合意に基づき開始された。08年11月には第3フェーズの合同会議が開かれ37項目に渡る行動計画が採択された。

第4回 ベトナム 世界同時不況で感じたベトナムの底力(2008年11月)

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開発中の第二タンロン工業団地

2ndステージに入った?ベトナムでの工業団地

さすがのベトナム経済も一時ほどの勢いはなくなったとは言え、中長期的な魅力は依然としてゆるぎないものがある。日系の進出企業は、この厳しい経済危機下においても、それほどドラスティックな雇用削減を行わないケースが多いと聞く。ベトナムの将来性を評価し、経済が回復した際に備え、雇用を確保しておくのだという。ベトナムへの進出意欲そのものも依然として底堅く、ハイフォン港に延びる国道5号線の近くに当社が開発し、昨夏に販売を開始した第二タンロン工業団地の販売も順調に推移している。


タンロン工業団地周辺で建設中の寮

だが、まだまだやるべきことはたくさんある。タンロン工業団地の周りを歩くと、狭い部屋を借りて5-6人で一緒に暮らしているワーカー達を見かける。彼らの住む家は、狭いといわれる日本の住宅と比較しても、まだまだ劣悪な居住環境にあると言わざるを得ない。ベトナムへの進出によって、日系企業がメリットを得ることも重要だが、ベトナムの国やそこで働く人々がより豊かになることも忘れてはならない。

ワーカー達が現在住んでいる共同住宅の横では、5階建ての立派な寮の建築が急ピッチで進んでいる。また、工業団地の求人ボードには、賃金だけでなく、福利厚生面でのメリットも各社が競うように掲示している。


またベトナムの投資環境の改善等を目的とし、当社の社長が共同議長を務めている日越共同イニシアティブにおいても、工業団地の生活環境整備が行動計画として掲げられている。タンロン工業団地はそのモデルともなっており、真に豊かな生活の実現に向けて取り組みを開始している。


求人ボードに群がる人たち

ベトナムの経済事情の影響もあり、タンロンで働く人たちにとって、日系企業が提示する賃金のメリットは、以前に比べると小さくなっているという。だが、求人ボードの前で、日本のマスコミにインタビューを受けた若者がいみじくも語った。

「確かに日系企業の賃金面での魅力はあまり大きくはなくなったかもしれない。だが、日系企業への期待は、何も高い賃金を出してくれることだけではない。多くの日系企業が進出してくれれば、ベトナムの国自体の発展にも繋がるし、僕たちの生活もより豊かになるのだ。だから僕は、日系企業にはぜひベトナムに進出してほしい」


また眼下の経済危機の影響もあるが、以前日系企業を悩ませていた離職率も一気に改善している。あまりドラスティックな人員削減を行わない日本企業は、ベトナム人の中でも評価が高まっているという。


冠講座で講演する加藤社長

日本人気か?冠講座で立ち見

そんな日本への期待の現われだろうか?当社は、ハノイ国立経済大学で、「グローバル企業の企業経営」をテーマに冠講座を開催しているが、そのオープニングセレモニーにおける当社社長の記念講演には、定員の500人を超える学生などが集まり立ち見が出るほどであった。


日本語学校の生徒たち

また、ベトナムでは近年政府が中心となって日本語教育の促進に取り組んでいる。ベトナム中部のダナン市で当社が運営している日本語学校でも、これまで約110人の学生が学んでおり、たいへん好評である。日本語学習を通じ、日本への理解を深めてもらい、少しでも日本ファンの子供たちが増えてくれればと願う。


日越共同イニシアティブにて(左から坂場駐越日本大使、フック計画投資大臣、当社社長)

ベトナムの未来に期待

世界経済の危機を受け、高度成長を続けたベトナム経済も、成長が鈍化したのは事実である。実質GDPの成長率も、07年の8.5%から、08年は6%台前半に減速したと見られる。だが、08年の海外からの直接投資は、認可ベースで前年の3倍。この数字は、ベトナム経済への将来への期待の現われではないだろうか?

ベトナムの人々の活き活きとした様子や若さに接していると、私は、日本の高度経済成長期のような力強さと、底堅さを感じずにはいられないのである。


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