資源・化学品事業部門 - 事業概要

フェロモン剤(※)など環境負荷の低い農薬にも取り組んでいます(写真はインドネシアのエシャロット畑)
※性フェロモンを用いて、特定の害虫の発生を抑制。この手法は対象の害虫以外に悪影響を及ぼしません
2010年現在、世界の総人口の推計は約69億人。これが2050年には90億人に達するとみられており、今後わずか40年で20億人以上が増えることになります。この爆発的な増加を前に、食糧問題はまさに世界的な課題になろうとしています。
問題は、"数"だけにとどまりません。国や地域の所得が上がると、そこの食糧需要は急速に増える傾向にあるのです。例えば肉類を取り上げても、鳥から豚、豚から牛と嗜好(しこう)が変わるにつれ、その飼育にはより多くの穀物が飼料として必要になり、それがさらに食糧危機に拍車をかけると考えられています。
また、農地の面積は限られており、一気に収穫量を増やすことはなかなか難しいのが現実です。そこで限られた農地を最大限有効に活用し、農産物の生産性を上げるためには、農薬が重要な役割を果たします。
農薬と聞くと健康への被害を連想される人もいるでしょうが、改良・改善が進んで今やその危険性は限りなく低くなっています。もちろん環境に与える負荷も低減。日本はもとより、各国で厳しい基準が定められ、かつてのような心配は少なくなっています。
今後予想される世界規模での食糧危機に対処するためにも、農薬の存在は今後ますます大きくなっていくことが予想されます。

今後も世界最大の農薬マーケットである米州で販売網を拡充(写真は米州農薬会議)
住友商事グループの農薬ビジネスは半世紀以上の実績を持っており、総合商社の中では珍しいといえます。
この長い歴史を通じて、主に日本のメーカーが製造した農薬を住友商事グループの海外ネットワークを活用して世界各国に販売してきました。これまでのトレードビジネスに加え、1990年代に入り当社の機能を高度化するために、海外での農薬の輸入・販売業に進出し、現在ではその数が24カ国に及びます。2000年代に入ってからは新事業領域として川上のメーカー分野にも進出。海外メーカー製品の販売権の買収も積極的に行い、メーカー機能も一部強化してきました。
農薬の開発には膨大な費用と長い期間を要します。加えて各国の認可基準が年々厳しくなっており、安全性の証明に要するコストと時間も増加しており、新しい農薬が発売されるまでに10年、開発コストは50億円ともいわれます。
住友商事では新しい農薬を開発する日本のメーカーの商品の開発・販売に加え、特許切れ農薬であるジェネリック農薬の取り扱いも開始し、商品ラインアップの拡充も図っています。2008年、2009年には、全世界の住友商事グループの農薬事業関連スタッフが一堂に会したグローバル会議、2010年にはアルゼンチンで同様の米州農薬会議を開催。各国のスタッフが情報を持ち寄り、ジャガイモやトマトといった世界共通の作物に対する有効な農薬使用方法や、バナナにおける農薬残留基準のグローバルな調整など、テーマごとに意見交換を行いました。
具体的なアイデアも多く提案され、この情報交流はグローバルでの農薬ビジネスの展開に大きな力となっています。