環境・インフラ事業概要

環境・インフラ - 事業概要

1 2  next

タピオカ製造工程の排水で発電

メタンガスを回収して発電に利用

農家から大量に運びこまれるキャッサバ芋の根茎。すりつぶしたものから水で不純物を取り除き、デンプンにする

メタンリアクター。リアクターが導入される前の排水は、自然発酵に起因する強烈な臭いが漂う

"タピオカ"と聞いて、どんなイメージを浮かべますか。プチプチした食感のスイーツを連想される方も多いでしょう。タピオカはタロイモの一種であるキャッサバ芋の根茎から製造されるデンプンのこと。実はうどんの「つなぎ」などにも利用されている、私たち日本人にもなじみ深い食材です。

タピオカはインドネシア、タイ、ベトナムが三大生産地。そのデンプン製造工場から排水は処理する工程で池に貯められ、メタンガスを自然発酵します。大気中に放出されるこのメタンガスは温暖化に悪影響を及ぼすガスの一種。このガスを、メタンリアクターと呼ばれる強制発酵装置で回収して発電・熱源に利用できるようにしたのが、住友商事の手がけたプロジェクト。つくり出した電力は工場の電源とする一方で、メタンガスをそのまま燃やして熱源にも利用されます。さらに、排水が池に流れ込む前にリアクターで処理するので、環境の改善や、地球温暖化防止に貢献するうえ、排出権の獲得にも繋がるという、プラスαの経済効果が得られるのです。

住友商事ではインドネシア4件、タイ2件、ベトナム4件の計10件、タピオカデンプン製造工場のメタンガス回収プロジェクトに参画しており、その輪は着実に広がりを見せています。


粘り強く説得してプロジェクトの実現へ

メタンリアクター導入前(上)と導入後の工場近くにある池。排水から不純物を取り除くことで、きれいな水に戻すことができる

そもそも住友商事がこの取り組みに着手したのは2004年。当時、インドネシア駐在から帰任した環境ソリューション事業部長・小川新人が、駐在時に合弁事業を行った取引先のタピオカデンプン製造工場を訪問した際、悪臭漂う工場排水からメタンガスを抑えられれば排出権につながるのでは、と思いついたことがきっかけでした。

仕組みは極めてシンプルです。ただし、メタンガス回収のリアクター装置の導入などには数億円という資金が必要なため、工場オーナーの多くは「単なる排水処理にそんなにカネを出せない」と首を振るばかりでした。

担当者一同は、地球温暖化防止をはじめ、環境改善に役立つこと、工場内の電力が賄えること、さらには排出権が得られることという「一石三鳥」のメリットを粘り強く説明。それまでの取引で培った実績・信用が奏功したこともあり、工場オーナーも次第に前向きに考えるようになり、時間はかかったものの、ようやくメタンガス回収プロジェクトの実現にこぎ着けました。

当社の担当者も「本当にメタンガスを回収して発電できたときには、改めて驚きました」(環境ソリューション事業部・緒方剛)と振り返っています。

これまで手がけた10カ所のプロジェクトの申請時の排出権の創出量は、年間70万CO2トン強。日本人の年間1人あたりCO2排出量が10トン弱なので、約7万人の排出量を賄えるという、大きな効果を得ることができます。


>>>次ページ 排出権ノウハウを他プロジェクトに横展開 / 長期的な視点で先手を打つ

1 2  next


↑このぺージの先頭へ