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広報パーソン 世界探訪記

南相馬における熱い想い

  • 日本
  • 環境・インフラ事業部門
  • 電力・エネルギー

2017年6月掲載

報道チーム 中村 雅昭

商社の営業に憧れて2014年に入社、広報部報道チームに配属。金属、生活資材・不動産、食料関連を担当する報道チーム員として、取材対応やネタの売り込みに日々奮闘中。趣味はラクロス、将棋、旅行。今一番行ってみたいところは南極。

2011年、東日本大震災で甚大な被害を受けた東北。福島県南相馬市も大きな損害を受け、今も沿岸部は津波による大きな傷跡が残っている。この地において、住友商事と住友商事東北は太陽光発電事業に取り組んでいる。東日本大震災から6年たった今、被災地の復興に貢献するため、現場はどのような想いで取り組んでいるのか。17年2月に南相馬市を訪れた。

かしまの一本松がある南相馬

南相馬市は、福島市から東へ約60キロメートルの太平洋沿岸に位置する。

住友商事と住友商事東北は、100パーセント出資するソーラーパワー南相馬・原町およびソーラーパワー南相馬・鹿島を通じ、2つの太陽光発電事業に携わっている。事業用地は合計で約155ヘクタール、東京ドーム33個分の広さであり、その規模は東北最大級である。南相馬市には、津波に耐えて1本だけ残った「かしまの一本松」がある。実際にその「かしまの一本松」を見る機会があったのだが、周辺は更地になっており、改めて津波被害の大きさや恐ろしさを実感した。

ソーラーパワー南相馬・原町の門出

南相馬市を訪問した2月13日、ソーラーパワー南相馬・原町が取り組む太陽光発電所の起工式が開催された。雲一つない晴天が、ソーラーパワー南相馬・原町の門出を祝っているように思えた。南相馬市の桜井勝延市長をはじめ約80人が参列し、神事にて工事の安全を祈願した。「今回着工する発電所が、地域の皆さまに愛着をもって受け入れていただけるよう努力し、南相馬市の復興と発展に少しでも貢献してまいりたい」というソーラーパワー南相馬・原町の平野貴之社長の言葉からは、本事業への強い決意が感じられた。

ソーラーパワー南相馬・原町が進める事業は、総事業費が約130億円のプロジェクトであり、約12万枚のソーラーパネルを設置し、2018年末の稼働開始を予定している。発電能力は約32.2メガワットで、南相馬市の総世帯数の約40パーセントに相当する、約1万世帯分の電気を発電する計画だ。

起工式で祝辞を述べるソーラーパワー南相馬・原町の平野社長

見渡す限り広がるソーラーパネル

原町東地区から車で20分ほど北上すると、ソーラーパワー南相馬・鹿島が建設を進める発電所の現場がある。右田・海老地区と真野地区にわたる発電所であり、総事業費は約220億円、一般家庭約2万世帯分の電力に相当する約59.9メガワットのメガソーラー発電設備を導入する計画だ。運転開始予定の2018年3月以降には多くの人々の生活を支えていくだろう。

ソーラーパワー南相馬・鹿島は、16年5月に整備を開始した。17年2月13日時点では、右田・海老地区側は約40パーセント、全体では約25パーセントの工事がすでに終了しており、順調に進捗しているとのこと。現場には設置済みの約9,000枚のソーラーパネルが見渡す限り広がっていた。全ての工事が終わるころには約22万枚になる予定だそうで、完成時には壮大な光景になるだろうとひとり思いにふけった。

設置済みのソーラーパネル

地域への貢献

南相馬市では、「南相馬市再生可能エネルギー推進ビジョン」において、2030年までに市内の消費電力量に対する再生可能エネルギーの導入比率を100パーセントとする目標を掲げている。住友商事グループが携わっている太陽光発電事業は、南相馬市の目標達成の一助となるだろう。

また、16年5月には、南相馬市とソーラーパワー南相馬・鹿島の間で、地域貢献協定書が交わされた。南相馬市の実施する再生可能エネルギー事業によって生み出された電力について、地産地消に関する助言を行うほか、ソーラーパワー南相馬・鹿島が建設する見学施設を活用して、地元の子どもたちへ環境教育を実施することなどに合意したもの。事業を通じて南相馬市に協力するだけでなく、地域の教育へ貢献する取り組みも続けていく。

南相馬市は、1,000年以上の歴史を誇る国の重要無形民俗文化財である「相馬野馬追(そうまのまおい)」という祭事が全国的に有名である。野馬懸(のまがけ)や甲冑競馬や神旗争奪戦、街を騎馬武者たちがねり歩く勇壮なものだ。南相馬市民にとっては年に一度の大切な行事で、東日本大震災が発生した年も、住民の熱い想いによって開催されたとのこと。写真を見たところ、まさに戦国絵巻が現代に再現された様子であった。一人ひとりの真剣な表情から会場の熱気が伝わってくるようで、地元への、また伝統行事への強い思い入れが感じられた。

住友商事は、世界各地で再生可能エネルギー発電事業に積極的に取り組んでいる。今後も、これまでに培った知見や経験を生かし、人々の生活を支え、地球環境との共生を実現するための事業に果敢に挑戦し続けていくことだろう。

右田・海老地区の太陽光パネル設置場所に佇む石製のかえる。守り神かもしれない

不屈の精神

住友商事が取り組んでいる太陽光発電所の規模、そして地域貢献への想いに大きな感銘を受けた。震災から6年が経過し、復興も進んではいるが、完全な復興にはさらに長い時間が必要だろう。平野社長が語っていた「熱い想い」と「不屈の精神」があれば、今後も地域復興に長く貢献できるのではないか。そう心から感じた探訪だった。

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