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広報パーソン 世界探訪記

世界中から熱い眼差しが向けられているミャンマー

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2015年10月掲載

報道チーム 中村 雅昭

2014年入社の広報部員。大学時代は体育会ラクロス部に所属し、汗と泥にまみれた4年間を過ごした。毎朝の通勤ラッシュすらも筋トレだと思えるぐらいポジティブな性格。好きな言葉は「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」。ゴルフを特訓中だが、スコアが伸びないことが最近の悩み。

2013年、現職の総理大臣として36年ぶりに安倍晋三首相がミャンマーを訪問し、本格的な経済協力が再開した。現在ミャンマーはアジアのラストフロンティアとして注目を浴びており、日本からも250社以上の企業が進出している。7月下旬、ミャンマーを訪れる機会を得て、当社関連の4つの事業(ティラワ経済特別区における事業、通信事業、人材育成サポート事業、自動車事業)の現場を訪問した。めまぐるしい経済成長の中、住友商事グループで働く社員が、同国の経済や産業の発展に貢献している様子を紹介する。

ティラワ経済特別区における取り組み

雨季真っただ中の7月、雨が降りやまないミャンマーを訪れた。ヤンゴン市内から約20キロメートル、ティラワ経済特別区に向かった。その道すがら多くの日本車が走る様子を眺めていると、「日系企業の製品はミャンマーで人気。ヤンゴン市内で走っている車の9割は日本車だよ」と現地のドライバーは笑顔で教えてくれた。まさかミャンマーで日本車をこんなに見るとは思っておらず、驚きを隠せなかった。さらに交通の面で驚いたのは、他の東南アジアの国と異なりバイクがヤンゴン市内を走っていないことだ。郊外に行くとバイクも走っているのだが、市内に関しては政府が禁止している。

今ミャンマーで注目を集め、順調に進行しているプロジェクトといえば、ティラワ経済特別区ゾーンA内で開発が進む、工業団地プロジェクトであろう。ミャンマー、日本両国の政府と民間企業が出資をしているMJTD(※1)が開発、販売、運営を手掛ける同工業団地には、日系企業のみならず各国の企業が入居することが決まっており、日本だけでなく他国からも評価されていることがうかがえる。

「海外工業団地事業はその土地に根差したビジネスなので、地域の方々の理解を得ることが大事。MJTDも地域貢献活動として、ティラワ周辺に住んでいる児童に、文房具や雨傘などを寄付している。地域住民との付き合いは絶対に必要です」と、同社社長の梁井崇史(海外工業団地部)は語る。多くの企業がミャンマーへの進出を検討しているといわれている中、中小企業にとってミャンマー進出の足掛かりとなり、初期投資負担を軽減できるよう、工業団地内には一部レンタル工場も用意している。

ミャンマーは貿易取引量が大幅に増え、国内消費市場も拡大基調にあるため、物流事業の需要増加が見込まれている。ティラワ経済特別区内で初の物流事業会社であるティラワ・グローバル・ロジスティクス(※2)は、進出企業の輸送をサポートすることで、多くの企業のニーズを満たすことができるであろう。同社社長の林祥久(物流事業部)は「今後増加する物流ニーズのために、早めに基盤作りを行っておくことが大事だ」と話していた。

ティラワ経済特別区内には、5万キロワットのガス火力発電所の工事現場がある。ミャンマーでは電力不足がいまだ大きな問題となっている。以前より減ったにせよ、停電はまだ頻繁に発生する。工業団地内に工場を建設する際、隣接地に発電所が整備されていることは大きなメリットとなる。現在建設中の火力発電所がティラワ経済特別区に電力を供給することになれば、工業団地内のインフラ整備の一助になるだろう。2016年春には1号機が完工予定とのことだ。こちらも急ピッチで建設が進んでおり、汗を流しながら働いている人々がいた。現場所長の萬田修三(電力EPC第一部)は予定通りの完工に向けて、土日返上で現場の指揮に奮闘しており、「ヤンゴン事務所の渡辺達也のフルサポートを受けながら、順調に工事は進んでいる。計画通り完工させたい」と熱く語った。今後もティラワ経済特別区周辺の成長から目が離せない。

※1 Myanmar Japan Thilawa Development Ltd.の略。工業団地開発・販売・運営事業を行う会社
※2 当社と上組が出資している総合物流会社

MJTDの事務所。大変活気にあふれていた

ティラワ経済特別区内の火力発電所の建設現場

携帯電話の爆発的な普及スピード

ミャンマーの街中を見ていて特に感じたのが、携帯電話を持っている人が想像以上に多く、皆楽しそうに通話をしていたことだ。

当社は、14年7月よりMPT(※3)、KDDIと共同で、ミャンマーにおける通信事業を行っている。ミャンマーの携帯普及率は、約5,000万超の人口に対し、10パーセント強(13年度時点)だった。その一因としてSIMカードの入手が困難だったことが挙げられる。ここ最近までSIMカードは、一般市民にとっては高価なものであった。しかし、14年になってからは、SIMカードを安価で購入できるようになり、加速度的に普及が進んでいる。現政権は16年には普及率を80パーセントとすることを目標に掲げている。今や爆発的な人気を誇る携帯電話、そこにさらなる需要の増加が見込まれることは誰の目にも明らかだ。

MPTの強みを述べるならば、広い通信範囲と通話品質の良さであろう。ヤンゴン市内では電波がつながらないことは少なくなってきており、屋内に入っても通話が途切れることはあまりないそうだ。さらに昨年からはブランドの刷新、直営店の設置など、さまざまな戦略を打ち出し続けている。最近ではバスやタクシーの車体にMPTの広告を載せ、新ブランドのイメージ浸透に取り組んでいる。「ミャンマーの人々のために、さらに電波がつながりやすい環境を提供することが必要です。新しくなったMPTのサービスを国民に知ってもらうために、新しいCMを放送するなど広報活動にも積極的です」と現場でMPTの事業に携わる紅野吉章(ネットワーク事業本部)は語る。

MPTの直販店では社員の接客を見ることができた。ミャンマーの人々は勤勉かつ真面目というイメージ通り、店頭でも慣れた様子で生き生きと働いている姿が印象的であった。また来訪客に対しても、一つ一つきめ細やかにサービスの説明を行っている様子に感動を覚えた。もしかしたらミャンマーで携帯の普及率が伸びている要因の一つに、丁寧な接客サービスがあるのかもしれない。

※3 Myanma Posts & Telecommunications(ミャンマー国営郵便・電気通信事業体)の略

ヤンゴン中央駅に掲示されていたMPTの広告

ミャンマーの正装であるロンジーをまとった紅野(中央)

ミャンマーの次世代を担う人材育成

ヤンゴン市内では昔に比べ停電が少なくなったそうだが、電線の下を歩く時は注意が必要という話を聞いた。ミャンマーの電線は裸電線で、切れて落下すると事故につながることもある。感電死する人が年間100人を超えるという発表もある。「特に雨季は漏電しやすいから注意しなくてはいけないんだ」と悲しげにホテルの従業員が教えてくれた。電線に関連する事故をなくし、電力の安全・安定供給につなげていきたいという思いから、当社は現地の電気工事技術者を養成するための支援を、きんでんと共に行っている。

昨年から開講している、ヤンゴン市インセイン区の「きんでん教室」(※4)を訪れた。屋外では第二期生が電線・電柱を用いて、実践に即した訓練をしている最中で、お互いに声を掛けあいながら安全確認を注意深く行っていた。実際の現場では、一つの不注意が命に関わる可能性があるため、その様子は真剣そのものであった。また、座学を受けている訓練生たちも、講師が教える内容に対してしっかりとメモをとっており、再び勤勉な印象を受けた。ここで育った技術者たちが、送配電線のインフラ整備に貢献し、将来のミャンマーを担う人材になることを願ってやまない。「きんでん教室」の卒業生の中には、すでにティラワ経済特別区内の工業団地で働いている人もおり、同工業団地の発展にも寄与することであろう。

ミャンマーの鉄道は線路の状態が悪いため、速度が出せず輸送効率の悪化につながっていることをご存じだろうか。現在ミャンマーでは年間600件を超える脱線・衝突事故が発生しており、原因の一つとして線路の不備が挙げられる。その不備を減らし、輸送効率を上げるためには保線作業が必要となる。その状況を改善するため、鉄道の保線工事用の人材を育てる事業を、当社は日本コンサルタンツ、オリエンタルコンサルタンツと共に請け負っており、セミナーや実地研修などを行っている。将来このプロジェクトで育った技術者たちが、列車の激しい揺れを軽減させることで、輸送効率の向上に貢献することを信じている。

トレーナーズトレーニングとでもいうべき、国の将来を支える人たちを育てる事業。その訓練を受けた人たちが、自国のインフラ整備に精力的に取り組んでいる。ミャンマーの人々に寄り添ってビジネスをするだけでなく、人材育成のサポートまで注力していることに心を打たれた。

※4 きんでんと、現地の養成学校と共に電気工事技術者を養成する職業訓練教室「サクラ-インセイン テクニカルコース」の通称

屋外にある電柱や電線の模型を利用し、実践形式の訓練をしている様子

人材育成事業では保線工事に必要な資機材も供与している。写真は鉄道保線作業中に電車が隣を走って行く様子

ミャンマーで脈々と続く当社の自動車ビジネス

ヤンゴン市内から北上すること1時間強、国道3号線沿いに日野サービスステーションが見えてきた。このサービスステーションでは、商用車に対するアフターサービス全般を行っている。驚いたのは、きれいに手入れされたガラス張りのショールームで、つい店内に足を踏み入れたくなるような外観だ。

当社が自動車事業で第一歩を踏み出したのは、ミャンマー向けの日野自動車製バス輸出であった。60年以上前にこの国でビジネスを開始し、今日もなおミャンマーで自動車ビジネスを続けており、深い結びつきを感じずにはいられない。

「文化の違いによる苦労は多々ある。しかし粘り強く熱意で乗り越えていくことが必要だ」サミットSPAモーターズ(※5)社長の谷山隆彦(自動車流通事業第二部)は力強く語った。今後、ミャンマーで建設業などが盛んになるにつれトラックによる輸送は増加し、物流業の拡大にあわせてトラックのアフターサービスに関する需要も年々伸びるとされている。ミャンマーの経済成長に欠かせないトラックのアフターサービスが、同国において中長期的に非常に重要な事業となることは間違いないであろう。日野のトラックがミャンマーの産業界を牽引(けんいん)する日はそう遠くない。

ミャンマーにおける当社のビジネスの現場を肌で感じ、第一線の現場で働く人々の熱意や尽力を知ることにより、当社が同国で取り組む事業の重要性に改めて気付かされた。ヤンゴン事務所長の妻鹿英史が語った「この国を今よりも、より良くしたい」この言葉に尽きると思う。ミャンマーに貢献しようという熱い思いを持って働く人たちがいる限り、この国の成長は止まらないであろう。ラストフロンティアと呼ばれるミャンマーの今後の動向から目を離すわけにはいかない。その思いとともに微笑みの国ミャンマーを後にした。

※5 日野自動車製車両を主とする、商用車のアフターサービス事業を行う会社

日野サービスステーションの大きな看板。遠くからでもよく目立っていた

日野サービスステーションにて。社長の谷山(左から2人目)、副社長のタン(中央)、勝部泰行(左端)

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