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広報パーソン 世界探訪記

いまだ目が離せない中国市場

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2015年3月掲載

報道チーム 江草未由紀

入社以来、20数年にわたり消費者ビジネスを担当。3度の出向とニューヨーク留学を経験し、主に欧米系ブランド事業の開発運営に携わってきた。2014年4月に広報部に異動。趣味は鈍りがちな体のメンテナンスのため、数年前にゆるゆると始めた週末ランニング。昨秋、フルマラソンを初完走!

2014年12月、年の瀬も差し迫り、クリスマス装飾が街を彩る最中、住友商事の東アジアグループ事業会社会議への出席を機に、約7年ぶりに上海を訪問した。非常に駆け足ではあったが、当社の事業会社訪問を通じ肌で感じた、中国経済の「いま」を紹介する。

中国の自動車市場

2014年の中国新車販売台数は、前年比6.9パーセント増の2,349万1,900台(出典:中国汽車工業協会)。世界市場は前年比3.5パーセント増の8,900万台超とみられており、中国は2位の米国を大きく引き離して1位。世界の約4分の1を占める、まさに巨大市場だ。市場をけん引しているのは、欧米系メーカーのフォルクスワーゲンとゼネラルモーターズ(GM)。次に続くのが、韓国の現代自動車。日本勢はトヨタ、日産ともにやや出遅れ気味だ。

そんな中、江蘇省昆山市(上海の西)に位置する自動車部品メーカー富士和機械工業(昆山)有限公司詳細を訪問した。

同社は、ブレーキ、駆動、エンジン部品の鋳鉄・鋳造技術を強みとし、月8,000トンの生産量を誇る。また、これら鋳造製品を組み立てるラインも備えており、約110種類の完成部品を生産している。
販売先は、GMやフォルクスワーゲンなどの大手外資系自動車メーカーから、日系、中国国内メーカーまで幅広い。顧客ニーズを取り入れて製造設備・技術を年々進化させている点で、取引先からの製品評価が高く、各メーカーから「優秀サプライヤー賞」「品質優秀賞」などを数多く受賞している。

中国の全人口に占める自動車の保有比率はまだ1割程度。6~8割の日米欧に比べ伸びしろは大きい。富裕層を対象として欧米車を中心とした新車市場が伸長する一方、利便性や価格重視の消費者向けに中古車市場の台頭も見込まれている。これに伴い、補修部品の需要も増えることが予測されており、新たな商機も期待できそうだ。

整然とした工場内、きめ細やかなオペレーションが高品質の鍵

鋳造部品の生産プロセスは、 溶解・造形・鋳込み・仕上げと続く

中国の化学品市場

中国の自動車生産・販売市場の急拡大に伴い、プラスチック市場も急成長している。中国市場は7,000億円と世界市場3.5兆円の約2割を占め、世界最大となった。1990~2000年代には液晶テレビなど家電生産の拡大とともに、2010年以降はハイブリッド車や電気自動車などの自動車軽量化ニーズに対応し、年平均6~7パーセント増で成長している。

当社は14年4月、スペインの大手石油化学会社であるセプサキミカが中国で手掛ける石油化学品製造事業に参画した。両社が上海に設立したセプサキミカシャンハイを通じ、上海化学工業区(Shanghai Chemical Industrial Park)詳細に新工場を建設。15年初頭より、自動車部品や電気部品などのプラスチック原料であるフェノールとアセトンの生産を開始する計画。販売先は、同じ工業区内にある世界最大の樹脂メーカードイツのバイエルをはじめ、中国国内外の大手樹脂メーカーだ。

セプサキミカシャンハイのピエール・ラハイエ総経理は、事業にかける思いを語ってくれた。「生産には3交替、24時間体制であたる。製品の特性上、品質・安全管理には非常に神経を使うが、これを管理・実践できる人材確保と訓練がカギ。いいチームができあがったと思う」と生産操業スタートに向けて自信を見せた。

工場がフル稼働すれば、フェノール生産量は中国最大級の年間25万トンとなる。当社は、原料調達、製品販売、高度な物流などで機能を発揮し、年間600~700億円の売り上げを目指す。

生産操業間近のセプサキミカシャンハイのフェノール工場

セプサキミカシャンハイで、ピエール・ラハイエ総経理(前中央)を囲んで

中国の住宅市場

中国の住宅価格は14年5月以降、8カ月連続で前月を下回ったが、8月をピークに徐々に下落率が縮小し、12月には前月比マイナス0.42パーセントまで改善した。景気減速の震源(GDPに占める建設不動産の割合は 約15パーセント)ともいえる住宅市況を下支えするため、14年11月、中国人民銀行は2年4カ月ぶりに金利を引き下げたが、これが功を奏した模様。さらに住宅市場を下支えしているのが、都市部の潜在的な需要。都市部への人口移動は今後ますます増えるとみられ、住宅市場はようやく回復基調に戻る見通しだ。

当社は、中国上海のデベロッパー上海穀豪房地産有限公司への出資を通じ、10年6月より上海市の大型不動産開発事業「東方豪園」を手掛けている。1戸建て住宅39棟(50戸)、タウンハウス6棟(72戸)、マンション3棟(521戸)、商業棟1棟からなる、事業面積約2万8,000坪、総戸数643戸の複合開発案件だ。

場所は、上海市街から北西に約23キロメートルの嘉定区馬陸鎮。新たに開通した地下鉄11号線沿線の郊外に位置し、中間所得者層向けマンション(平均96平方メートル、170万元)から、富裕層向け1戸建て住宅(平均384平方メートル、1,600万元)までをそろえている。

住宅市況低迷のあおりを受け、14年7月に販売開始した中間所得者層向けマンションへの影響が心配されたが、実需層の底堅い住宅需要を背景に着実に販売が進んでいるとのこと。中国人民銀行は住宅ローンの規制緩和にも動いていることから、今後、高額物件を含め、さらに活発な動きが期待される。

「東方豪園」プロジェクト(第1期)の1戸建て住宅、タウンハウス。入居が進み、エリアは閑静な趣ある雰囲気を醸し出している

建設・販売中の「東方豪園」プロジェクト(第2期)のマンション、商業棟

景気減速が叫ばれる中国だが、14年の実質経済成長率は7.4パーセントと、まだまだ成長余力を残している。確かに、約7、8年前に訪問した時に感じた「異常な過熱感」こそなかったものの、今回視察した各産業現場では、手応えのあるポテンシャルとエネルギーを感じることができた。

一方で、印象深かったのは、オーバーストアによる影響もあるのか、全般に商業施設内の客数が非常に少なかったこと。にもかかわらず、レストラン営業に合わせて夜10時頃まで営業していること。
聞くところによると、上海のラグジュアリーブランド店舗は、いまショールームと化しているという。つまり、富裕層は、上海で商品を吟味し、海外で購入するというのだ。どうりで、今年の春節(2月)は日本のインバウンド消費が跳ねたという。

いろんな意味で、中国から目が離せない。

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