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ボーダーレスな合金鉄プロジェクトで産業と生活を支える

2017年5月掲載

鉄鋼を強靭にする「鉄の素」マンガン

私たちの身の回りにある鉄には、希少金属の一種であるマンガンが添加されています。マンガンがしばしば「鉄の素」と呼ばれるのは、1トンの鉄鋼に対してわずか10キログラムのマンガンを加えるだけで、強度や耐摩耗性が格段に向上するからです。業界の一部では、豪華客船タイタニック号の船体が氷山に衝突してもろくも破損したのは、船体の鉄にマンガンが含まれていなかったためともいわれています。

世界における高品位マンガン鉱石の総埋蔵量の実に80パーセントを南アフリカ共和国一国で占めています。住友商事が、マンガン鉱石の採掘事業を行う最大手の一社であるアソマンとの取引を開始したのは1960年代のことでした。その後もアソマンとの関係は続き、アパルトヘイト撤廃後の97年には、南アフリカ国内で合金鉄を生産する事業投資会社を設立しています。

原料ヤードでは、マンガン鉱石やコークスなどが保管されている

3社のパートナーシップによって新たな事業をスタート

台湾の製鉄会社であるチャイナスティールは、住友商事金属事業部門と長年のビジネスパートナーでした。資源のない台湾で製鉄事業を手掛けるチャイナスティールと、資源の生産者であるアソマン。この2つのプレーヤーを結びつけることによって、マンガン系合金鉄の生産事業を新たに取り進めようと開始したのは、2008年のことです。

3社合弁で合金鉄工場をマレーシアのサラワク州に設立することを決定したのは、マレーシアで当社の金属事業部門がアルミ製錬ビジネスを行っており、知見があったことに加え、新設された水力発電ダムから安価でクリーンな電力を長期に使えるめどが立ったからでした。13年、アソマンが54.36パーセント、当社が26.64パーセント、チャイナスティールが19パーセントという出資比率で、サクラ・フェロアロイズを設立。工場建設に着手しました。

新しくできた工業団地内に建設されたマンガン系合金鉄製造工場全景

「つなげて、新たな価値を生み出す」総合商社の力

アソマンが採掘したマンガン鉱石をマレーシアへ運び、サクラ・フェロアロイズの工場で精錬し、生産した合金鉄を世界に向けてアソマン、住友商事が販売し、一部チャイナスティールが消費する。このビジネスモデルにおいて住友商事が果たしているのが、ファシリテーターの役割です。

南アフリカ、台湾、マレーシアというこれまでつながりのなかった地域、プレーヤー、ビジネスをつなげ、新しい価値を生み出す。そこに、当社の力があります。「つなげる力」がなければ、はるか離れた場所で活動するアソマンとチャイナスティールが共にビジネスを行うこともなく、マレーシアでマンガン系合金鉄工場が建設されることもなかったでしょう。また、現地行政当局との交渉などに総合商社としてのノウハウを生かしたことも、ファシリテーターとしての役割の一面です。

2017年3月に開催された開所式

金属原料を安定的に供給し続ける

サクラ・フェロアロイズの1号炉は2016年4月に完成し、5月から合金鉄の生産が開始しました。2号炉も9月から生産が始まっています。2つの炉がフルに稼働すれば、年間18万トンのマンガン系合金鉄が生み出されることになります。当面は安定的なフル生産継続が目標です。

アジア地域の経済発展が順調に続いていくに従って、合金鉄の需要も高まっていきます。今後もバリューチェーンの最上流に当たる資源の確保から、精錬から販売までをワンストップで展開するこのビジネスによって、金属原料を安定的に供給し、産業の発展と人々の生活を力強く支えていきます。

炉から流れ出した合金鉄は冷却され、製品ヤードに運ばれる

関連タグ

  • 資源・化学品事業部門
  • マレーシア
  • 鉱物資源

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