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先端機器の「心臓」を動かす材料を安定的に供給する

2017年2月掲載

リチウムイオン電池を駆動させる重要な材料

スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、電気自動車、そしてドローン──。現在、「先端機器」と呼ばれるものの多くは、リチウムイオン電池によって駆動しています。小型かつ軽量なこの充電池が開発されていなければ、私たちの生活は現在よりもはるかに不便なものになっていたに違いありません。
 
リチウムイオン電池は用途によって、円筒型や角型、またパウチ型など形状はさまざまですが、中には電解質(六フッ化リン酸リチウム)を溶かした電解液が入っていて、その働きにより通電する仕組みになっています。
 
今後、市場が拡大し、さらに介護ロボット等新たな先端機器が開発されていくことで、リチウムイオン電池の需要はいっそう増加することが期待され、電解質の安定供給が求められることになります。

六フッ化リン酸リチウムが充填された専用製品ドラム

原料の調達から、生産、販売まで

電解質メーカーの森田化学工業が、中国内のリチウムイオン電池の需要増を見込んで現地に工場を建設したのは、2004年のことです。住友商事はその際に30%出資し、新会社である森田新能源材料有限公司(以下、森田新能源)を共に設立しました。当社は以前から、電解質の原料となるフッ化水素を輸入、森田化学工業に提供しており、同社初となる中国進出のサポートを目的とした出資でした。

中国は、世界最大のリチウムイオン電池の市場であるだけでなく、フッ素、リン酸、リチウムといった電解質の原料物質を含む資源の産出国でもあります。当社は共同出資者として従来の日本からの原料調達網に加え、中国国内の新しい調達のネットワークを開拓し、工場に原料を安定的に供給する体制を整えました。また販売先の多くは現地の中国企業であり、中国全土に広がる住友商事の販売網を使うことで販路を広げていきました。このビジネスモデルが森田化学工業とのパートナーシップによって成立したわけです。

江蘇省張家港市に位置する森田新能源

現場のマネジメントや品質管理に生かされたノウハウ

電解質は危険有毒性が強く、触れるだけで人体に害を及ぼします。そのため、工場現場では徹底した安全管理が求められます。また当然ながら、製品の品質水準も常に一定以上に保たなければなりません。

初期の段階から、森田新能源は、従業員を中国で採用する方針をとっていました。中国でビジネスをするからには、スタッフも現地の人々でと判断したからです。しかし、電解質生産の未経験者を起用しながら、安全かつ安定的に高品質を実現するのは簡単ではありませんでした。

そこで発揮されたのが、世界各地で工場経営に参画してきた住友商事のノウハウでした。現地での人材採用から教育、現場のマネジメント、品質管理などの面で、当社の経験が大いに生かされることとなりました。現在では、現場スタッフは全員が現地採用の従業員であり、高品質の製品が日々生産されています。

人材育成にも力を入れることが、高品質な製品提供につながっている

電気自動車市場と共に成長していく

2004年の工場設立時点で、中国で電解質を生産しているメーカーは森田新能源1社のみでした。しかしその後、数多くの現地企業が市場に参入し、価格競争も激しくなりました。そのコスト競争の中でも、森田新能源は品質を落とさず、中国内でのトップシェアを誇っています。世界市場で見ても、森田化学工業が生産する電解質のシェアは全世界で2割以上と、これもトップシェアの位置を守り続けています。

16年10月には、江蘇省泰興市に第2工場を建設する計画がスタートしました。この工場にも住友商事は30%の出資が決まっています。新工場が稼働すれば、製品出荷量は最大で現在の2倍にあたる年間1万トンに達する見込みです。

環境負荷の低い電気自動車の普及が世界で加速していくと、リチウムイオン電池の需要も右肩上がりで伸びていくことが予測されます。成長しゆく未来の産業を支える最も重要な材料の一つである電解質を、今後も高品質を保ちながら、安定的に供給していきます。

江蘇省泰興市の劉志明市長(左)と森田化学工業社長の森田康夫氏(右)

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