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環境にやさしい未来の日本へ

2009年11月掲載

ハイテク産業の成長に欠かせない資源

ハイブリッドカー、電気自動車、風力発電、有機ELディスプレイ……。日本の先端ハイテク産業、とりわけ環境対応型産業の核となる製品づくりに欠かせない“レアアース(希土類)”。「産業のビタミン」と呼ばれるこの貴重な資源を、いち早く日本へ安定供給できる道を住友商事が開きます。しかも、環境にやさしい資源開発で。

レアアースとは、レアメタルの一種。燃料電池の効率を高めるスカンジウム、ハイブリッドカーや電気自動車の駆動モーターに使われるネオジム磁石や、発光体の製品化に必須のテルビウムといった17元素の総称です。たとえばネオジム磁石にディスプロシウムを添加することで高耐熱性が実現できます。これを風力発電機に使用すると、発電効率が良くなり、しかも故障しにくい設計が可能になります。さまざまな理由から風力発電所を沖合いに設置しようという動きが高まっていますが、希土類磁石を使った風力発電機はこれに合致するものとして注目されています。

レアアースの活用により、自然にも、地域住民にも配慮した電力供給が広まっています

中国に頼ってきた世界市場

レアアースの埋蔵量が多いのは、中国(31%)、CIS(独立国家共同体/22%)、アメリカ(15%)、オーストラリア(6%)、インド(1%)と言われます。ところが生産量は、世界(12.4万トン/2007年実績)の97%を中国が占めているのが現状。中国以外で生産が進まない理由は大きく2つあります。1つは、資源はあってもウランやトリウムといった放射性物質を含有することから、その処理体制を整えることが難しいこと。もう1つが、17種のレアアースが同時に採取されるため、17種をまんべんなく販売できないと採算が合いにくく、新規参入のハードルが高いことです。こうした理由から、世界は10年以上も、その生産を中国に頼ってきました。ところが中国ハイテク産業の育成・成長を背景に、中国政府が年々輸出を抑制。新たな供給先の確保が必要になってきたのです。

ウラン鉱残渣。現在調査中のカザフスタンの残渣埋蔵量は、推定1.5億トンにものぼる

お客さまに安心していただける体制を

現在、日本のレアアース消費量は年間3万5000トン。このうちの約10%を、当社が手がけています。今後の市場拡大を確実にサポートしていくためにも、供給先の確保が急務でした。2006年からカザフスタン国営原子力公社カザトムプロム社とウラン鉱山開発事業を推進していたこともあり、そこで新たなビジネスの糸口が見つかったのです。

レアアース回収事業推進に向けた調印式。左からカザトムプロム副社長のヤシン氏、当社の降旗資源第二本部長、JOGMEC理事の鹿戸氏

実現する、環境にやさしい資源開発

カザフスタンには、ウランを採掘したあとの残渣(ざんさ)が大量に存在しており、これを調べてみると、レアアースの中でも特に需要が高いネオジム、ディスプロシウム、テルビウムが豊富に含まれていました。この残渣を資源にできれば、山林伐採などもせずレアアースが採取できるうえ、処理工程も大幅に短縮できるため、開発コストも巨額の資金を要しません。さらに、処理の過程で発生する廃液や煤煙といった環境負荷も低減できます。「環境にやさしい資源開発」であり、ハイブリッドカーや電気自動車、風力発電、有機ELディスプレイなどに使用可能と、まさに理想的な形が実現できることがわかったのです。

こうして当社は、新たなレアアース供給の道を確保。これは日本の製造業が国際競争力を維持・強化する観点から意義があり、経済産業省、資源エネルギー庁、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の支援も受けることが決定しました。

地平線まで広がる大量の残渣池の様子。従来、不要物として放置されていたものに注目し、資源のリサイクルを行う

年間3000トンの生産体制を確立

今後は、2011年を目標に、資源の埋蔵量と含有物品位などの本格的な調査を開始すると同時に、ウルバ冶金工場と連携し、年間3000トンのレアアース生産体制を確立します。また、京都大学との産学連携で、採取したレアアースの応用研究を進めることも決定しており、将来的には生産したレアアースを使った高付加価値品の製造までを、カザフスタン国内で行う一貫体制の構築も目指しています。

レアアース回収事業の技術討論会メンバー。現地の有識者や日本の専門家も参加

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