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貴重な水資源を、世界各地で循環サイクルに

2013年10月更新

増大する水需要とひっ迫する供給

かつて日本では「水と安全はタダのようなもの」と言われていました。ペットボトル入りの水が日常的に買われるようになった今では、誰も水がタダとは思っていないでしょうが、蛇口をひねれば豊富に水が出てくることは当たり前のように受け止められています。しかし、世界に目を転じると水の利用環境は大きく異なっていることがわかります。

地球上の水資源のほとんどは海水で、淡水は全体のわずか3パーセント。さらに人類が利用できる水となると、総量の0.01パーセントに過ぎません。そもそも水資源は、代替物がなく、存在量は地域で偏っていて、利用に際してはインフラ整備が必要になります。そのため世界各地には中東、北アフリカ、アジア諸国など、水不足に悩む地域が存在しています。
特に人口増加や都市化・工業化を背景に、地球規模で水需要の増大とともに安全で衛生的な水環境の劣化が進んでおり、今後の水問題は深刻化していくとみられています。そこで21世紀に入ってからは、水問題解決を目指した水ビジネスへの取り組みが、世界的に注目され始めました。当然そこには、発展途上国における安全で衛生的な生活環境の実現に貢献するのは先進国としての責務である、という意識の高まりもあります。

住友商事では、水事業を環境・インフラ事業部門の将来の収益の柱とすべく、育成するビジネスと位置付けています。水需要の増大著しい地域など、世界各地の有望市場において、実績を積んできた上下水処理や海水淡水化などのBOOT/BOO事業から、2013年に新たに参画したコンセッション事業にまで領域を広げ、よりグローバルで多面的な水ビジネスの展開を通して、世界中に広がる水問題の解決に貢献すべく、挑戦を続けています。

メキシコでの下水処理施設

トルコ・イズミット市での水処理施設の様子

総合水・環境事業会社を目指して

住友商事では現在、英国、中東、メキシコ、中国、アジアなどで300万人以上の人々に上下水に関わるサービスを提供しています。

水問題解決のためには、生活に必要な上水の供給に加えて、整備の遅れている下水道にも注力せねばなりません。当社は2004年からフランスの水事業会社デグレモンと協力してメキシコでの下水処理事業に参入。デグレモンの持つ水事業運営に関する豊富なノウハウと、当社のファイナンスを含めたプロジェクトのコーディネーション力や、国際的なネットワーク機能を組み合わせ、事業に取り組んできました。ここでは下水を農業用水、工業用水に循環させるプロジェクトを通じて、環境改善や地域社会の発展に貢献しています。

今後大きな成長が予想される上下水道のコンセッション事業に本格的に参入するべく、2013年2月に英国の水道会社であるサットン&イーストサーレイウォーター(Sutton & East Surrey Water、以後SESW)の全株式を取得しました。その後、同年10月からは大阪ガスと共同運営していくこととしました。当社の水事業に関するこれまでの経験と、長年国内都市ガス事業にて培った、顧客サービスの向上や配管網設備の維持管理など、同社が持つノウハウを融合させ、SESWをよりよい企業に育て上げることを目指します。そのノウハウを生かし、他のコンセッション事業への展開はもとより、水環境向上のためさまざまな機能を提供していきます。

英国・SESW社での水処理施設の様子

世界第一位、第二位の人口国での貢献

住友商事では今後急速な経済発展に伴い、インフラ整備が望まれる中国、インドや他の東南アジア諸国、また水不足の著しい中東・北アフリカ地域などを中心に水事業を展開しようとしています。

中国では水事業大手の北京キャピタル(北京首創股份有限公司)と提携しました。急激な経済発展とは裏腹に、下水道普及率は非常に低いレベルにとどまっている同国において、下水処理事業を共同で手掛けています。一方、経済発展の著しいインドでも現地の水事業大手企業のヴイエーテック・ワバッグ(VA TECH WABAG)と提携して、インド国内のみならず中東も含めた地域で水事業を共同展開します。具体的には、ワバッグの技術力・競争力を活用して、オマーンで逆浸透膜技術 (Reverse Osmosis)による海水を淡水化する民活型造水事業(造水量約19万トン/日)に参画を果たしました。
世界第一位、第二位の人口を持つ中国、インドにおいては、水事業はビジネスとして大きなポテンシャルを持つとともに、両国の生活環境整備に大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。

オマーン造水プラント完成予想図

官民連携した循環型水サイクルの構築

日本では主に自治体が水事業を担っており、上下水道施設や配水管網の運営・維持管理ノウハウ、低い漏水率、下水処理水の再生利用など世界トップクラスの技術を持っています。住友商事では、日本の誇るこれら自治体にあるノウハウ、日本企業の技術力、総合商社の持つ総合力をパッケージとして輸出することで、安全で衛生的な水環境の実現に貢献したいと考えています。既にその第一弾として、東京都と協力してマレーシアで具体的な試みを始めています。

水資源の有効活用には、下水の浄化により衛生的な環境を実現することに加え、処理水を再利用する循環サイクルの構築が重要です。しかし、経済発展を急ぐ多くの発展途上国では下水処理施設が整っていないため、この循環サイクルが構築できていません。住友商事では、自治体のノウハウを活用した官民連携のパッケージでこの問題を解決し、水の循環サイクル構築を提案。東南アジアの都市を、10年後には日本のように安全で清潔な水環境に恵まれた都市に変えることを目指しています。
東京都とのマレーシアでの取り組みは、その国の人々の安全で衛生的な生活環境の実現に大きく貢献する、非常に有意義な取り組みとして、各方面より注目されています。

メキシコ中部のサン・ルイス・ポトシ市での下水処理施設

機能を高度化し最適な水インフラの構築と運営で社会に貢献する

グローバルな視点で見ると水事業は、本来行政が手掛けていた公共サービスを民間に委託する「民活化」がさらに進んでいくものと期待できます。その国ごとの上下水道計画を、日本の自治体や公益企業の持つインフラ整備・運営ノウハウと、民間の資金と技術力を結集してサポートすることにより、その国の水インフラ整備に貢献できると考えられます。住友商事は自社の持つグローバルネットワークとこれまで培ったビジネスノウハウや、買収・提携によって獲得した機能を通じて、プラットフォームとしてより大きな役割を果たすことを目標としています。住友商事では、東京都との連携や大阪ガスとの協働を活かして、他地域においても上下水道の整備・運営をパッケージで手掛け、水資源の最適な循環サイクルの構築、安定的なサービスの提供を通して、安全・清潔な環境の実現に貢献していきます。

関連タグ

  • 環境・インフラ事業部門
  • オマーン・マレーシア・メキシコ・英国
  • 環境

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