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長期的視野に立った地熱発電ビジネスへの取り組み

2013年4月掲載

安定供給できる再生可能エネルギー

世界規模で地球温暖化への懸念が高まりつつある中、地熱発電が大きな注目を集めています。その背景にあるのは、世界的なエネルギー需要の増加に伴う石油・天然ガス価格の高騰による、火力発電所の運転コストの上昇です。また、いずれは枯渇する運命にある化石燃料に代わるエネルギーとして、半永久的に安定して利用可能な地熱エネルギーに対する期待が大きく高まってきているのです。

地熱発電という名前は聞いたことがあっても、その原理や仕組みについては一般的によく知られていません。「地熱」という言葉から、灼熱(しゃくねつ)のマグマを使って発電しているイメージをもたれがちですが、実際は地中から掘り出した水蒸気を利用して発電しています。地下数千メートルの貯留層にパイプを通すと、地下から200度以上の熱水が勢いよく噴き上がります。そして、地表に出るころには水蒸気となり、その水蒸気でタービンを回して発電をする仕組みです。さらに、取り出した蒸気を冷却し水に還元した上で地下へ戻しているため、半永久的に利用できます。

火力や原子力の場合は水蒸気をつくる大量の水と、水を沸騰させる燃料が必要ですが、地熱の場合はこれらのものが必要ありません。また、マグマが地下水を加熱してくれるため化石燃料を必要とせず、CO2もほとんど発生しません(CO2排出量は火力発電の20分の1程度)。さらに天候や昼夜に左右されることなく、24時間365日安定した発電が可能な点も大きなメリットの一つ。このように地熱発電は、数ある再生可能エネルギーの中でも環境に優しく、信頼性の高い発電形態と考えられているのです。

白い煙は冷却されてから大気に放出される蒸気(ウルブル地熱発電所・インドネシア)

日本の優れた技術を世界へ

「基幹インフラの高度化を通じ、社会に貢献する機能集団」を目指す住友商事では、地熱発電ビジネスに早くから取り組んできました。地熱発電にはフラッシュサイクルとバイナリーという2つの発電方式がありますが、200~250度の水蒸気を直接タービンに送り込んで発電を行うフラッシュサイクル方式は、熱交換型のバイナリーと比べて建設および運用コストが安いことから、現段階では世界の主流となっています。そして、フラッシュサイクル用地熱蒸気タービンの分野では日本の重電メーカーが設備容量ベースで、世界の約8割のマーケットシェアを握っています。

その理由は、日本の技術力の高さです。地熱発電は地下の天然蒸気を利用しますが、その中にはさまざまな不純物や重金属(腐食性物質)が含まれており、耐腐食性に優れたタービン製造に関して日本の重電メーカーは技術・ノウハウ共に世界を大きくリードしているのです。

住友商事が地熱発電事業に参入したきっかけは、日本の重電メーカー製タービンのトレーディングに端を発します。その後、プラント建設に不可欠なファイナンスの提供、リスク管理機能、グローバルネットワークを利用した迅速・的確な情報収集など、総合商社としてEPC(工事込プラント建設請負形態)における幅広い機能を発揮。メーカー、エンジニアリング会社、地熱コンサルティング会社とのタイアップのもと、開発を大きくサポートする立場として現在に至っています。

トルコに向けて日本の工場で出荷を待つ富士電機製の蒸気タービン

インドネシア、ニュージーランド、トルコをはじめ世界各国で開発実績

住友商事はエルサルバドルやアメリカ西海岸での地熱用蒸気タービンの販売を皮切りに、多数の案件を手掛けています。

インドネシアでは、2012年10月に完工したウルブル地熱発電所があります。同発電所は、インドネシア・スマトラ島における初の大型地熱発電所です。インドネシアでの当社の地熱発電参画プロジェクトは、本件を含め8件あり、地熱発電設備の納入容量は、同国で稼働中の地熱発電所の約50 パーセントのシェアになりました。インドネシアは世界最大級の地熱エネルギー保有国として知られており、今後も有望な開発国として注目されています。

ニュージーランドでは、ヌ・アワ・プルア地熱発電所が2010年4月に完工しています。そこに設置されたタービンは、単機の発電容量としては世界最大の規模を誇っています。

トルコでは、当社が2012年に蒸気タービンや発電機を納入した、クズルデレ地熱発電所があります。そこでは、新規に地熱発電所を増設工事中で、これが完成すれば中東最大規模の地熱発電所となります。世界でも有数の地熱源保有国のひとつであるトルコでは、政府が2015年までに地熱発電容量を550メガワットまで引き上げる目標を掲げており、トルコ国内外の民間企業により開発計画が進められています。住友商事では、水温が100度前後の熱水でも発電可能な技術にも目を向け、トルコをはじめとする世界の国々でも、環境に優しいエネルギーの普及に尽力していきたいと考えています。

世界の火山性地熱資源が確認されている地域

地球環境保全のためにやらなくてはという使命感で取り組む

再生可能エネルギーへの期待とともに、地熱発電に対する注目が高まりつつある今、今後も世界中で地熱発電開発プロジェクトが急増することが見込まれています。しかも、これまでは国家レベルで推進されるケースが多かった地熱発電事業ですが、近年は民間資金を活用した開発が活発に進められるようになってきています。地熱発電は地熱源調査に長期間を要する点や、地下数千メートルまで掘って蒸気を取り出す必要がある点で、開発リスクを伴いますが、半永久的に安定した利用が可能であることや、CO2排出量が少なく地球環境保全の面からも大きなメリットがあります。住友商事は地球環境のため、低炭素社会実現のため、これまでの経験を生かし、今後も世界における地熱発電開発に貢献していきます。

ヌ・アワ・プルア地熱発電所(ニュージーランド)

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