このページの本文へ移動

文字サイズ

  • 標準
  • 拡大

中東地域と日本の鉄鋼ビジネスの融合を目指す

2010年7月掲載

世界一の超高層ビル建造など、急激に発展するUAE

インフラ、ビル、住宅、自動車、電化製品など、幅広い産業で使われることから、需要の伸びが発展のバロメーターといわれる鉄。その需要が急激に伸びている国の一つが、アラブ首長国連邦(UAE)です。

7つの首長国で構成されるUAEの中で2番目に大きい首長国であるドバイは、8万3,600平方キロメートルの国土(日本の約1/4)を持ち、ペルシア湾沿岸に位置しています。1981年に設置されたフリーゾーン(自由貿易地区)には、法人設立条件や税金などの優遇制度があることから外国企業の進出ラッシュが続き、人口が急増。住宅需要の高まりに大きく拍車をかけました。さらに、世界一高い828メートルの超高層ビル“ブルジュ・ハリファ”、人工島群“パーム・ジュメイラ”に代表されるリゾート開発、各種商業施設や公共施設の建設なども進められてきました。

その結果、UAEでは経済発展とともに鋼材消費も着実に増加。鋼材需要は1990年代にほぼ200万トン以下で推移していましたが、2007年には900万トン近くにも膨れ上がりました。2008年の世界同時不況によりプロジェクトの遅延や中断が発生しているものの、現在は落ち着きを取り戻しています。

住友商事は2005年11月に、現地法人サミットスチール・ミドルイースト(SSME)を設立。鉄鋼製品の仕入れから薄板類の加工・販売を行うスチールサービスセンター事業と、薄板(※1)、厚板、形鋼(※2)、鋼管類のトレード商売を両輪に行っており、ドバイをはじめ中東諸国の需要に応えています。

ドバイの新市街に立ち並ぶビル群。UAE最長の高速道路、シェイク・ザイード・ロードに面している

  • ※1薄板とは、一般的に厚さ6ミリメートル以下に加工された金属性の板のこと。自動車や家電類のほか、建材や飲料缶まで広く使用されている。
  • ※2形鋼とは、「H」や「I」など一定の形の断面をもつ鋼材のこと。主に土木・建築用の柱などに使用される。円形の断面で中が空洞のものは鋼管と呼ばれる。

日系企業の先駆けとなるサービスを提供

SSMEの設立当初、住友商事は鉄鋼製品の取引からサービスを開始しました。ところが、鉄鋼メーカーの製造拠点は多くがヨーロッパ、日本を含むアジアにあるため、発注から納入まで4カ月近くかかってしまうなど、とても厳しい環境の中でのビジネスでした。そこで状況を好転させるため、2007年4月、新たに取り組んだのが「スチールサービスセンター事業」。当社の金属事業部門が世界に展開するビジネスモデルの核です。

スチールサービスセンターとは、在庫したコイル状の薄板鋼材を顧客の要望に合わせて裁断加工して供給する工場のこと。「必要なものを、必要なときに、必要な数量だけ」ジャストインタイムでの提供を可能にします。

日系で中東に進出した製造工場はまだ多くありません。当社はこのスチールサービスセンターと鉄鋼製品のトレードを両輪に、日系企業の先駆けとして、その足場を整えています。

2006年、建設中のスチールサービスセンター。周囲は広大な砂漠に囲まれているため、インフラ整備も同時に行った

地道に粘り強く。住友商事の強みを成長する社会で

初めての取り組みには、いつも苦労がつきものです。SSMEの場合も、多くの壁が立ちはだかりました。中でも一番の厚い壁は、スチールサービスセンターの利点を取引先にどう理解してもらうか。中東の商習慣と地理的事情から、安定的な鋼材の供給を確保できないので、先々の需要のために大量の在庫を抱えることが、ドバイのビジネススタイルだったのです。

多くの企業がこの壁にぶつかる中、当社の思いは異なりました。「ジャストインタイム供給というスチールサービスセンターのメリットは必ず理解してもらえる。自分たちの強みを生かして壁を乗り越えよう。」この確信を支えていたのは、アジア諸国での成功体験です。粘り強く提案し続けることで理解が深まり、アジアでスチールサービスセンターを新たなビジネスモデルとして根づかせてきた自信が力となりました。

完成したスチールサービスセンター外観。少量の砂塵で加工品の質が左右されるため、透明アクリル板を使い機械を覆うなど工夫を凝らしている

SSMEは、当社のネットワークや過去の実績を生かし、設備の導入からサービスの運営方法、そして管理体制までを整えると共に、スチールサービスセンターの機能がいかに有益なものか、説得を重ねていきました。

強く意識したのは、当社のやり方や発想を押し付けるのではなく、ドバイの商習慣や発想との融合です。お互いの良さを組み合わせ、中東スタイルの新しいビジネスモデルを目指すことで、少しずつ取引を広げていくことができたのです。

出荷前の加工、梱包済み鋼板。年間6万トンの加工能力をもつSSMEでは、安全を優先し操業を続けている

西南アジア、そして東アフリカにも

SSMEはスチールサービスセンター事業とトレード商売で培った経験とネットワークを生かし、経済発展がこれから本格化する中東湾岸諸国、東アラブ諸国、サブサハラ諸国(東アフリカ)、も今後の注力地域に掲げ、積極的にビジネスを展開していきます。

特にサブサハラ諸国(東アフリカ)は、最後のフロンティアとも言われており、同地域向けへのトレード業務を伸長させることにより、今後同地域での伸びる鋼材需要に応えていきます。これまで培ってきた経験とノウハウを生かして、世界各地の状況に応じた鉄への要望に応え、それぞれの社会がめざす発展に貢献していきます。

現地で働くSSMEの社員集合写真。現地の優秀な人材とともに中東全域にサービスを提供している

関連タグ

  • 金属事業部門
  • アラブ首長国連邦
  • 金属

最近よく見られている事業紹介

ページの先頭へ