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油井管事業でエネルギーの安定供給に貢献

2010年7月掲載

世界の原油埋蔵量の約6割が集中

世界の原油生産国として真っ先に頭に浮かぶ、中東の国々。世界の原油埋蔵量の約6割が中東地域に集中しているとされ、世界のエネルギー事情は中東地域の安定に依存していると言っても過言ではありません。「世界の石油は何年もすると枯渇する」ということが一時期話題になりましたが、現在では中東の埋蔵量は現行のペースで生産しても100年は生産可能といわれています。イラクに至っては、現在の石油掘削ペースのままだと300年は続くとされています。最近は、北米を中心にシェールガス・オイルといわれる新型資源の開発が盛んになっているものの、中東地域の存在感の大きさは、しばらく変わることがないでしょう。

中東原油ビジネスが街並みに変化を与えてゆくドバイ

この中東地域において住友商事では、油井管事業を通じて、エネルギーの安定供給に貢献しています。油井管とは、石油・ガスを地下から汲み上げるパイプのこと。地中深く埋められるそれらのパイプは、想像を絶する圧力を受けるため、非常な強靱さが求められます。また、掘削する場所によって地中の状況はまったく異なるので、用途や場所、顧客の要望などに応じたテーラーメードのパイプが求められます。つまり優れた品質と高い技術力が不可欠なのです。

住友商事はこうした厳しい要求に応えながら、油井管事業で大きな実績を築いてきました。

中東の石油・ガスは世界各国に様々な形で運ばれてゆく

高品質のサービスを一貫して提供するSCMを展開

油井管事業では、東京をヘッドクォーターに、アメリカ、イギリス、シンガポール、ドバイ、中国に販売中核拠点を置き、全世界のマーケットで事業を展開してきました。そのキーワードがSCM(Supply Chain Management=サプライチェーンマネジメント)です。

当社は新日鉄住金製のCRA(高合金)を始めとする高品質油井管を全世界の市場に輸出しています。油井管だけで井戸が構成されるわけではなく、無数の付属品も必要であるほか、油井管の使用状況を管理・予測して、必要に応じてジャストインタイムでの供給、適切なメンテナンス、パイプの在庫管理も掘削現場では必要になります。当社ではこういった様々な顧客の要望に合わせたサービスを一括して請け負うSCM体制を構築。他社にはないノウハウで、厚い信頼を得ています。

SCMの一つの事例が、オマーンでの展開です。オマーンは中東では中規模の産油国で、国営の石油開発公社(PDO)が開発を手がけていました。しかし、油井管の在庫管理がうまくいかず、問題化。無数のパイプが効率的に使用されずに砂漠の中に野ざらしにされているような状況でした。そこで2002年から住友商事がSCMを展開。在庫管理から始まり、トータルなサービス展開を行って、オマーンでの石油開発に大きな貢献をすることができたのです。こうした事例は全世界に21を数えており、そのノウハウは米国・ヒューストンに設立したSCM推進会社に蓄積。全世界のSCMプロジェクトに様々な形で展開されています。

中東各地向け油井管が並ぶUAEのヤード。世界屈指の技術を誇る新日鉄住金製の油井管を扱う

技術面のコンサルティングにも注力

掘削場所によって、規模、深度や圧力など、条件がすべて異なるのが石油・ガスの開発。他で成功した事例をそのまま転用する、いわゆる"コピー&ペースト"での事業展開はできません。効率的な事業管理はSCMのノウハウでまかなえますが、それぞれの掘削環境に対して最適な形で井戸設計を行い、掘削を行うには高い技術力が必要です。当社は全世界で、各地域に特化したコンサルティングエンジニアを配置しています。

掘削を行う石油会社のパートナーとなり、高品質の鋼管を供給する当社との間に立って、"翻訳者"のように互いの橋渡しを行い、井戸環境に合った設計を提言するのがこのコンサルティングエンジニアの使命です。

中東の場合、深さ1,000メートルから最深で5,000メートル以上まで掘る必要があるため、安全な掘削に耐える高品質の油井管と適切な関連サービスが不可欠

今後も、SCM推進会社が最小限の投資で鋼管供給オペレーションにおける最大限の効果を得られるよう後押ししつつ、コンサルティングエンジニアが技術面で井戸環境への最適化をサポートするという、"コマーシャル&テクニカル"の両輪での活動に力を入れていく考えです。

中東戦略を話し合う中東住友商事の社員。中東・北アフリカ全域の鋼管戦略の中核機能を担う

新たな"国産化"への流れにも対応していく

先のオマーンの事例にもあったように、中東の産油国では国営の石油会社が、海外から高品質の油井管を輸入して掘削を行っています。このニーズに的確に応えていくことが戦略の一つの柱です。

一方で、ナショナリゼーションすなわち"国産化・内製化"の流れも、ここ数年で顕著になってきました。油井管製造や関連サービスも国内でまかない、雇用を創出して国内産業を育成しようという取り組みです。この流れにどう対応していくかが、今後のもう一つの柱になっていくのは間違いありません。

中東と一言でいっても、実際は国によって法律や文化、商慣習など、あらゆる面で異なります。国産化へも個別に対応しなくてはなりません。この面でも"コピー&ペースト"はできないのです。SCMとコンサルティングエンジニアという両輪で鍛えてきた対応力と柔軟性は、当社の大きな武器となっています。

中東からの原油の安定供給は、世界のエネルギー政策にとっても不可欠。その大きなミッションは、一国だけでできるものではなく、また、産油国の人々だけでも支えきれません。国や文化の違いを超えて力を合わせ、知識と技術を共有してこそ、成し遂げられることでしょう。遙か中東の地で、異国の仲間たちと力を合わせて世界的な貢献を目指している社員がいることは、住友商事にとっての大きな誇りです。

砂漠や山岳地帯など、様々な環境の中での石油・ガス掘削作業に対応していかなければならない

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